経営管理
理想的な手元資金の目安とは?【資金繰りに困らない経営の重要性】
会社の手元資金の目安を知りたい人
「会社の手元資金って、どれくらいが適正なんだろう?少なすぎると資金繰りが不安だし、逆に多すぎても無駄に思うし…。会社として持っておくべき手元資金の目安を教えてください。」
こういったお悩みに答えます。
本記事のゴール
3分程で読み終わります。読み終えた後には、「会社の手元資金の目安」がわかり、資金繰りに困らない経営の第一歩を踏み出せます。
こんにちは。近藤税理士事務所の近藤です。
私は、税理士事務所・一般事業会社・企業再生コンサルティング会社勤務を経て独立した少し変わった経歴を持つ税理士です。
税理士業界から一度離れ、倒産危機に陥る会社をたくさん見てきたからこそ、「数字の重要性」を再認識することができました。
その貴重な経験のなかで得た「気付き」や「ノウハウ」をブログに綴って情報発信しています。
「経営を数字という言葉で語れるようになること」
そうすれば、あなたの会社は必ず変われます。
もし、あなたが「本気で会社を強くしたい!」とお考えなら…お気軽に無料相談をご利用ください。
きっと、あなたのお悩みを解決するためのヒントが手に入ります。
お金足りてますか?
お金が無くなれば会社は倒産…
だから、手元資金がいくらあるかということは、まさに会社にとっての生命線です。
にもかかわらず、客観的に見て「手元資金が少ない会社」が多いように思います。
来月の支払いに困っている会社であれば、すでに手元資金の少なさを痛感し、「なぜ、あのときに対処しておかなかったのだろう…」と悔やんでも悔やみきれないほどの後悔をしていると思います。
この記事で取り上げたいのは、そこまで資金繰りに困っていない会社です。
来月の支払いには困らないけど、決して手元資金が多いというわけでもない会社…
そんな状態でも「節税」と称して無駄なお金を使っている会社…
ほんとうに危険だと思います。いや、「ヤバイっ!」と感じてください。
「では、手元資金として最低どれくらい持っていれば良いのか…?」
そんなことを書いていきたいと思います。
手元資金の目安とは?
手元資金の目安は「平均月商の◯ヶ月分」なんて言われ方をしたりします。
でも、業種やビジネスモデルの違いもありますから、画一的に平均月商(年間売上高÷12)を基準にすると計算がおかしくなります。
例えば、同じくらいの利益水準でも、卸売業とサービス業では売上高のボリュームが全く違います。一般的に、卸売業は利益が薄い反面、売上高は大きくなりますから、手元資金の目安も大きく計算されてしまいます。
業種が違うだけで、手元資金の目安に大きな差が生じるのは現実的ではありませんよね。
では、どうすれば良いか…?
「売上高」ではなく、「限界利益(粗利総額)」を基準に手元資金の目安を考えれば良いのです。
限界利益(粗利総額)を基準にすれば、業種やビジネスモデルの違いによる売上高の大小に影響されずに、あなたの会社に合った手元資金の目安を考えることができます。
「最低限」の手元資金の目安
最低限の手元資金の目安は、ズバリ「平均限界利益の3ヶ月分以上」です。
手元資金 ÷ 平均限界利益 ≧ 3.0
(限界利益 = 売上高 – 変動費)
(平均限界利益 = 年間限界利益 ÷ 12 )
平均限界利益(粗利総額)の3ヶ月分とは、売上高がゼロになっても3ヶ月間は固定費の支払いができる程度の手元資金です。
これくらいあれば、売上見込みが多少ズレても、突発的な支払いが生じても、それを理由に資金繰りに走り回る必要はないと思います。でも、それほど余裕があるわけでもありません。だから、「最低限」の目安としています。
ところが、この「最低限」の目安にも満たない手元資金の会社が非常に多い…
このままでは、いまは良くても、ちょっとしたトラブルをきっかけに崩れ落ちていくような…そんな不安を感じずにはいられません。
あなたの会社は大丈夫ですか…?
(参考記事)
超簡単!変動費と固定費の分け方【もう固変分解に悩まない】
「理想的」な手元資金の目安
では、理想的な手元資金の目安は、どれくらいでしょうか?
ズバリ「平均限界利益の6ヶ月分以上」です。
手元資金 ÷ 平均限界利益 ≧ 6.0
(限界利益 = 売上高 – 変動費)
(平均限界利益 = 年間限界利益 ÷ 12 )
平均限界利益(粗利総額)の6ヶ月分以上の手元資金があれば、資金繰りのことで不安に感じることはないでしょう。
お金が無くなれば会社は倒産するわけですから、これくらいの手元資金があれば倒産リスクをうまくコントロールできていると思います。
このレベルに至るには「手元資金を多く持つことの重要性」を理解したうえで、計画的に行動していなければ絶対にできません。
あなたの会社にも、ぜひ目指してほしいところです。
手元資金を増やすためにやるべきこと
手元資金を増やすためにやるべきことは、以下のとおり。
- その①:利益をあげること
- その②:お金が増えない原因を解消すること
- その③:銀行から借りること
その①:利益をあげること
まずは「利益をあげること」、これに尽きます。
本業でしっかり利益を出さなければ、基本的にお金も増えません。
「そんなの毎日頑張ってるよ!」と思う人もいるかもしれませんが、理にかなった目標のある努力をしているのかどうかは疑問です。
あなたは、あなたの会社に求められている「必要な利益」を知っていますか?
この「必要な利益」を知っているかどうか?この「必要な利益」を達成するために行動しているかどうか?によって結果が変わってきます。
もし、あなたの会社が「必要な利益」を出せていないということであれば、ただ頑張っているだけではダメということです。早急に改善策を考えて実行していきましょう。
(「必要な利益」について詳しく知りたい人は、こちらの記事がおススメです)
(参考記事)
利益目標の設定の仕方【数字に強い会社が実践してること】
その②:お金が増えない原因を解消すること
お金が増えない原因を解消しないと、利益をあげたところで思うようにお金は増えません。
お金が増えない原因は、だいたいこんな感じです。
売掛金と買掛金のサイトバランスが悪い
売掛金の入金より買掛金の支払のほうが早ければ、売上が伸びる過程でお金が無くなっていきます。売掛金と買掛金のサイトバランスを合わせましょう。
在庫が増加傾向にある
売上増加に伴う在庫の増加は正常ですが、そうでない在庫の増加は資金繰りを悪化させます。適正な在庫に改めましょう。
銀行借入金の返済負担が重い
本業で稼ぐお金より銀行借入金の返済額のほうが大きければ、手元資金は減っていきます。調達や借換えなど何らかの対応が必要かもしれません。
あなたの会社のお金が増えない原因は?解消できそうですか?
大事なところなので、手を抜かずにしっかりと対処していきましょう。
その③:銀行から借りること
手元資金が足らないなら、銀行から借りてでも手元資金を厚くしましょう。
目安は、最低でも「平均限界利益の3ヶ月分」です。
銀行からお金を借りることに抵抗を持つ人がいますが、お金が無くなれば会社は倒産です。銀行をうまく活用しましょう。
このお金は手元資金を厚くするために借りたものですから、借金が増えてもお金も増えます。返そうと思えばいつでも返済できるのです。利息は生じますが、安心を買うための保険料と考えれば安いものです。
お金があることに気が緩んで、浪費や無駄な節税に使わないでくださいね。そんなことをすれば借金だけが残ってしまいますから。
手元資金を考えるうえで最も大切なこと
これまで手元資金について書いてきましたが、手元資金を考えるうえで最も大切なことがあります。
それは、「資金繰り管理を徹底すること」です。
お金が無くなれば会社は倒産です。逆に、お金があれば会社は倒産しません。
その会社の生命線である手元資金が減ってきてるとしたら、すぐに原因を特定して対処していかなければなりません。
そのためには、資金繰り管理を徹底するしかないのです。
資金繰り管理を徹底してる会社は強いです。多少の不況が来てもビクともしません。銀行との融資交渉もスタートが早いです。お金に困ってからでは遅いので、融資交渉のタイミングを見逃しません。そうやって手元資金の残高をコントロールしています。
あなたの会社も資金繰り管理を徹底してください。そして、手元資金をコントロールできるようになれば、資金繰りに困らない経営を実現できます。頑張ってください。
最後までお読みいただきありがとうございました。
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