経営管理
損益分岐点比率の計算方法や目安とは?【強い会社になる考え方】
損益分岐点比率を意識したことがない人
「自分の会社の損益分岐点って、どれくらいだろう?どうやって計算するの?損益分岐点を知って、何をどうすれば良いの?経営に活かす方法を教えてください。」
こういったお悩みに答えます。
本記事のゴール
3分程で読み終わります。読み終えた後には、「損益分岐点の重要性」がわかり、「損益分岐点を意識した経営」ができるようになります。
こんにちは。近藤税理士事務所の近藤です。
私は、税理士事務所・一般事業会社・企業再生コンサルティング会社勤務を経て独立した少し変わった経歴を持つ税理士です。
税理士業界から一度離れ、倒産危機に陥る会社をたくさん見てきたからこそ、「数字の重要性」を再認識することができました。
その貴重な経験のなかで得た「気付き」や「ノウハウ」をブログに綴って情報発信しています。
「経営を数字という言葉で語れるようになること」
そうすれば、あなたの会社は必ず変われます。
もし、あなたが「本気で会社を強くしたい!」とお考えなら…お気軽に無料相談をご利用ください。
きっと、あなたのお悩みを解決するためのヒントが手に入ります。
損益分岐点比率とは?その計算方法や目安は?
損益分岐点比率とは、利益がちょうどゼロになる売上高に対して、実際の売上高がどの位置にいるのかを測る指標で、あなたの会社の「赤字への抵抗力」がわかります。
損益分岐点比率を経営に活かせば、良い方向にむかっているのか?それとも悪い方向にむかっているのか?会社の健康状態を知ることができるようになります。
損益分岐点比率を計算するために、まずは事前準備が必要です。事前準備に触れたあと、計算方法や目安について説明することにします。
- 事前準備
- 損益分岐点比率の計算方法
- 損益分岐点比率の目安
- (参考)損益分岐点売上高と経営安全率
事前準備
損益分岐点比率を計算するためには、費用を「変動費」と「固定費」に分ける必要があります。
変動費
変動費:販売数量に比例して生じる費用
ここで大事なのが、「販売数量に比例する費用」であって、「売上高に比例する費用」ではないということです。売上高に比例して生じる費用なんてありません。変動費とは、販売数量に比例するものと覚えてください。
例えば、80円で仕入れたリンゴを売る場合のリンゴの原価80円が変動費です。2個売れば160円(80円 × 2個)になりますよね。外注費のうち1個◯◯円みたいな費用も変動費です。あと、1個売ったら◯◯円みたいな販売手数料もそうですね。
(販売数量に関係なく定額を支払う外注費や販売手数料は、変動費とはなりません。)
固定費
固定費:販売数量に関係なく生じる費用
つまり、変動費以外の費用は全て固定費と覚えてください。あまり細かく考える必要はありません。
このことから、通常の利益の計算式は、
売上高 – 原価 – 費用 = 利益
となりますが、損益分岐点を計算するためには、
売上高 – 変動費 – 固定費 = 利益
となるわけです。
「原価と費用」を「変動費と固定費」に組み替えただけですから利益は変わりません。
簡単でしょ…?
損益分岐点比率の計算方法
損益分岐点比率の計算方法は、下記の通り。
損益分岐点比率 = 固定費 ÷ 限界利益
(限界利益 = 売上高 – 変動費)
損益分岐点比率が100%であれば、「限界利益(粗利総額)」と「固定費」が同じ金額ということですから利益がゼロの状態です。
損益分岐点比率は、低いほど売上低下による抵抗力が強いことを意味します。
つまり、損益分岐点比率が高ければ、少し売上が下がっただけで赤字になってしまいますが、損益分岐点比率が低ければ、多少売上が下がっても簡単には赤字にならないということです。
例えば、こんな感じです。
- 損益分岐点比率80%:売上高が20%下がっても赤字になりません。優秀です。
- 損益分岐点比率98%:売上高が少し下がる(▲2%超)だけで赤字です。やばいです…。
- 損益分岐点比率110%:赤字です…。売上高を10%超上げなければ赤字脱出できません!
あなたの会社は、いかがでしょうか?
損益分岐点比率の目安
損益分岐点比率は、業種やビジネスモデルによって一概には言えませんが、目安として「80%以下」は目指したいところです。
しかし、「80%以下」というのは一般的な目安であって、大事なのは現状のあなたの会社の損益分岐点比率が◯%で、どれくらいにしたい・しなければならないと考えるかです。
ぜひとも、あなたの会社に見合った損益分岐点比率を設定して、良い方向に向かっているのか?それとも、悪い方向に向かっているのか?をしっかり把握してください。それが一番大事です。
ちなみに、一般的な損益分岐点比率の目安を下記に書いておきます。
- 60%未満:【超優良企業】全く問題なし!何でもできます
- 60%~80%:【優良企業】優秀です!節税をしましょう
- 81%~90%:【普通企業】健全な状態です
- 91%~100%:【危険水準】要注意!油断は禁物です
- 101%~200%:【赤字企業】早急に改善!このままでは…
- 200%超:【倒産路線】破産or社長交代
(参考)損益分岐点売上高と経営安全率
損益分岐点比率と同類の経営指標として、損益分岐点売上高と経営安全率(安全余裕率)があります。
とても便利な指標ですので、併せて押さえておきましょう。
損益分岐点売上高
損益分岐点売上高とは、「利益がちょうどゼロになる売上高」をいいます。
実際の売上高と損益分岐点売上高を比べて、あなたの会社が黒字なら「あとどれくらい売上高が下がっても赤字にならないか」ということがわかります。
逆に、あなたの会社が赤字なら「あとどれくらい売上高を増やせば黒字化できるか」ということがわかります。
損益分岐点売上高の計算方法は、下記の通り。
損益分岐点売上高 = 固定費 ÷ 粗利益率
(粗利益率 = 限界利益 ÷ 売上高)
(限界利益 = 売上高 – 変動費)
もしくは、
損益分岐点売上高 = 売上高 × 損益分岐点比率
「固定費」を「粗利益率」で割り戻すことで損益分岐点売上高を計算することができます。また、「実際の売上高」に「損益分岐点比率」を掛けても損益分岐点売上高を計算できます。
どちらの方法でも結果は同じですから、使いやすい方で計算してみましょう。
経営安全率(安全余裕率)
経営安全率は安全余裕率とも言い、「経営の安全性」を判断する指標です。
経営安全率(安全余裕率)の計算方法は、下記の通り。
経営安全率 = 1 – 損益分岐点比率
1から「損益分岐点比率」を差し引いたものが経営安全率(安全余裕率)であることから、両者は「表裏の関係」にあります。
例えば、あなたの会社の損益分岐点比率が80%であるなら、経営安全率(安全余裕率)は20%となります。
損益分岐点比率は、その値が低いほど「売上低下による抵抗力が強い」ということでしたが、経営安全率(安全余裕率)は、その値が高いほど「経営の安全性が高い」ことを意味します。
つまり、経営安全率(安全余裕率)が20%であれば、「売上高が20%下がっても赤字にならない」程度の余裕があるということです。
経営安全率(安全余裕率)が30%なら、なお良しです。
損益分岐点比率を改善するためにやるべきこと
再度、損益分岐点比率の計算式を載せておきます。
損益分岐点比率 = 固定費 ÷ 限界利益
この計算式の通り、損益分岐点比率は「限界利益(粗利総額)」と「固定費」とのバランスで決まります。
そして、損益分岐点比率を改善するためにやるべきことは、短絡的に固定費の削減に走るのではなく、「限界利益(粗利総額)の最大化」を必死になって考えることです。
もちろん、無駄な固定費は削減してください。無駄は無駄でしかありませんから。しかし、固定費は、あなたの会社にとってのエネルギーです。必要な固定費まで削ってしまうと、絶対に会社は弱ります…。そんなことがあってはなりません。
繰り返しますが、損益分岐点比率を改善するためにやるべきことは、「限界利益(粗利総額)の最大化」を必死になって考えること。これに尽きます。
- 固定費を増やして、粗利総額をもっと上げる!
- 変動費を増やして、粗利総額をもっと上げる!
- 粗利総額が増えるなら、売上高を落としても全然OK!
こんな考え方もアリなんです。
全ては、あなたの会社の「限界利益(粗利総額)の最大化」のために何をすべきか?一度、本気で考えてみてください。
損益分岐点比率を考えるうえで最も大切なこと
当たり前ですが、赤字は絶対にダメです。
損益分岐点比率は、「赤字への抵抗力」を見る指標ですから、これほど重要でありながら、経営に役立つ情報はありません。
会社を経営するうえで大事なのは、「安定した経営」をすることです。
会社には、良いときもあれば悪いときも必ずあります。少し売上高が下がっただけで赤字になっているようでは、とても安定した経営とは言えません。
「多少の不況が来てもビクともしない会社」
これが、あなたの会社が目指すべき形であり、損益分岐点比率はそれを測るためのとても便利な指標なのです。
損益分岐点比率を意識した経営をして、どっしり腰の据わった安定した経営を目指してください。それができるようになれば、あなたの会社は安泰です。
最後までお読みいただきありがとうございました。
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