経理効率化
クラウド会計のメリット・デメリットとは?【税理士が本音で徹底解説】
クラウド会計に興味がある人
「クラウド会計って、実際のところどうなの?クラウド会計に興味はあるけど、そこら辺のことがよくわからないから決断できないでいる…。クラウド会計の何が便利なのか?また、メリット・デメリットについて詳しく教えてください。」
こういったお悩みに答えます。
本記事のゴール
3分程で読み終わります。読み終えた後には、クラウド会計を導入することによるメリット・デメリットがわかり、あなたの会社の経理を飛躍的に効率化できるキッカケをつかめます。
こんにちは。近藤税理士事務所の近藤です。
私は、税理士事務所・一般事業会社・企業再生コンサルティング会社勤務を経て独立した少し変わった経歴を持つ税理士です。
税理士業界から一度離れ、倒産危機に陥る会社をたくさん見てきたからこそ、「数字の重要性」を再認識することができました。
その貴重な経験のなかで得た「気付き」や「ノウハウ」をブログに綴って情報発信しています。
「経営を数字という言葉で語れるようになること」
そうすれば、あなたの会社は必ず変われます。
クラウド会計とは?
クラウド会計とは、インターネット経由で使用する会計ソフトのことをいいます。まずは、従来の会計ソフトと比べてどんな違いがあるのかをさらっと確認してみましょう。
従来の会計ソフトの場合
パソコンにプログラムをインストールするので、基本的にそのパソコンでしか会計ソフトを使用することができません。
会計データもそのパソコンに蓄積されていきますので、他のパソコンでも会計データを触りたい場合は、他のパソコンにも別途プログラムをインストールしたうえで、会計データの受け渡しをする必要があります。
もちろん、会計データを共用サーバー等に保管して、複数のパソコンからアクセスできるような環境を構築すれば会計データの同期を図ることも可能でしょうが、大がかりな装置が必要になるのと、それなりの費用がかかります。
クラウド会計の場合
クラウド会計は、インターネットを最大限に活用した情報処理技術です。
サービス提供会社のデータセンターに会計データが蓄積されていくので、インターネット環境とパソコンがあれば場所を問わず会計データにアクセスすることが可能となります。
もちろん、大がかりな装置や初期投資費用も必要ありません。まさに、これからの時代に求められる会計ソフトといえます。
クラウド会計の5つのメリット
私は、税理士として色んな会社にクラウド会計の導入サポートをしてきましたが、その経験から言えるクラウド会計の5つのメリットをご紹介します。
- メリット①:仕訳入力等をほぼ自動化できる
- メリット②:自動的にアップデートされる
- メリット③:安心安全にデータがバックアップされる
- メリット④:どこからでもアクセスできる
- メリット⑤:人件費や専門家への報酬を削減できる
メリット①:仕訳入力等をほぼ自動化できる
これが一番のメリットと言っても過言ではありません。
従来のやり方であれば、こんな感じで会計ソフトに仕訳入力等していると思います。
- 通帳を記帳してきて、それを見ながら手入力
- 社員から経費精算書を回収して、その結果を手入力
- 給与計算をして、その結果を手入力
- 請求書を作成してから、その結果を手入力
- 請求書を印刷して、封筒に入れて郵送 など
一方、クラウド会計であれば、すでに存在するデータを活用して「手入力」と「二度手間」を徹底的に排除するように設計されています。
- インターネットバンキングの入出金データを取り込んで自動仕訳
- クラウド会計に付属する経費精算ソフトを活用して、そのまま自動仕訳
- クラウド会計に付属する給与計算ソフトを活用して、そのまま自動仕訳
- クラウド会計に付属する請求ソフトを活用して、そのまま自動仕訳
- ボタンひとつで請求書を得意先に自動発送 など
このように、クラウド会計であれば仕訳入力等がほぼ自動化され、飛躍的に業務効率が上がります。
メリット②:自動的にアップデートされる
税制改正や社会保険料の改定等が毎年のようにありますが、これらにしっかり対応していくのはなかなか大変です…。
従来の会計ソフトや給与計算ソフトの場合、手動でプログラムのアップデートをしなければなりません。プログラムが古ければ正しく計算処理ができませんから、担当者としては気をつかうところです。
クラウド会計であれば、自動的にアップデートされるので、面倒な作業から解放されます。
メリット③:安心安全にデータがバックアップされる
クラウド会計であれば、サービス提供会社の複数拠点のデータセンターで安心安全にデータがバックアップされるので、自分でデータのバックアップをとる必要がありません。
バックアップデータは手元に置いておきたい、その方が安心だという人もいるかと思います。実は、こんなブログを書いている私も、以前は同じことを考えていました。
なぜ考え方が変わったかというと、私の事務所が入居しているビルの隣のビルでボヤ騒ぎがあったのがキッカケでした。
幸い大事には至らなかったのですが、そのときに思ったのが「クラウド会計の高セキュリティのデータセンターが自然災害や事故で被害を受けるのと、私の事務所が火事で焼失するのと、どちらの方がリスクが高いか?」ということでした。
どんなに対策をしても、あらゆるリスクをゼロにすることはできません。それなら、高セキュリティなデータセンターにデータのバックアップを任せてみるのもアリだと思います。
メリット④:どこからでもアクセスできる
クラウド会計は、インターネット環境があれば、どこからでもアクセスできます。どのパソコンでもスマートフォンやタブレットでもOKです。
もちろん、セキュリティ上の問題があるので「利用できる端末」には制限を設けた方が良いですが、職場でないと作業ができないという制約から解放されることは、働き方の可能性が一気に広がります。
場所を選ばずに仕事ができることは、これからの時代では当たり前に求められます。
メリット⑤:人件費や専門家への報酬を削減できる
クラウド会計を上手に使えば、記帳や給与計算等にかかっている人件費や税理士等の専門家への報酬を削減することができます。
先述のとおり、クラウド会計は経理の業務効率を飛躍的に向上させることができるので、例えば、これまで3人でしていた経理が1人でできるようになったりします。また、税理士等の専門家に記帳代行や給与計算代行等を依頼しているなら、それも不要になります。
こういった人件費や専門家への報酬は毎月の固定費なので、これらを削減できることは大きなメリットといえます。
クラウド会計の3つのデメリット
クラウド会計は、もちろん「良いコト」ばかりではありません。クラウド会計の導入サポートをたくさんしてきた税理士として感じる3つのデメリットも本音でご紹介します。
- その①:通信障害があれば仕事ができない
- その②:ランニングコストがかかる
- その③:初期設定が難しい
その①:通信障害があれば仕事ができない
これが、一番のデメリットかもしれません。
クラウド会計は、インターネット環境が必須ですから、通信障害でインターネットに接続できなければ何もできません。
でも、通信障害といっても頻繁にあるわけではありませんし、大抵はすぐに復旧されるので大きな問題になることはほとんどないと思います。
もし、日常生活にも支障をきたすような大規模な通信障害が発生したら…
インターネットが当たり前の現代では、クラウド会計が使えないどころの問題ではなく、仕事そのものがまともにできないと思います。
その②:ランニングコストがかかる
クラウド会計の利用料が新たに必要になります。
でも、単純にコストが増えるのかというとそういうわけでもありません。
先述のとおり、クラウド会計を上手に使えば、人件費や専門家への報酬を削減できます。従来の会計ソフトや給与計算ソフトを使っていたのであれば、プログラムアップデート等のための保守料を支払っていたと思うので、それも要らなくなります。
また、これまでにインターネットバンキングを使っていなかった会社であれば、新たに契約をする必要があります。
でも、そもそも振込みや通帳記帳のためだけに銀行に行くのは時間の無駄でしかありません。インターネットバンキング利用料を節約してるつもりなのかもしれませんが、時間もお金です。クラウド会計とは関係なく、すぐにでもインターネットバンキングを始めるべきです。
その③:初期設定が難しい
クラウド会計は本当に便利なツールですが、初期設定を間違うと正しく使えません。
悪いことは言いません。余程の自信がない限り、そこはクラウド会計に詳しい専門家の力を借りましょう。
専門家への報酬が必要ですが、最初だけです。すぐに元が取れます。
クラウド会計に向いている人
こんな人は、間違いなくクラウド会計に向いていると思います。
その①:ITに強い人
ITに強い人は、「新しいモノ」に抵抗がありません。
ITは日々進化しています。そのなかでクラウド会計が誕生し、これからも「より便利なツール」になるために常に新しい機能が実装されていくことでしょう。
ITに強い人であれば、こういった新しい情報処理技術を使わない手はありません。きっと、すぐに使いこなして手放せなくなると思います。
その②:効率化を追求したい人
効率化を追求したい人は、「無駄なコト」が大嫌いです。
一般的に、経理業務には「手作業」や「二度手間」がたくさん見受けられます。でも、そのことに疑問を持たず、日々の業務をこなすだけで精一杯なので、なかなか効率化できないというのが実情ではないでしょうか。
クラウド会計は、徹底的に「手作業」や「二度手間」を排除するために設計されているので、効率化を追求したい人であれば、使ってみる価値は十分にあると断言します。きっと、その便利さに驚くと思いますよ。
クラウド会計に向いていない人
一方、こんな人はクラウド会計に向いていません。クラウド会計の導入は諦めましょう。
その①:文句が多い人
何事にも文句ばかり言う人がいますが、これでは話がなかなか前に進みません。
例えば、自分の存在をアピールしたいのか、常にマウントを取ろうとしてくる人がいます。話の内容は、ただ「文句」言っているだけですから何の代替案も持っていません。自覚がないので余計に厄介です。
ちなみに、「意見」と「文句」は全く違います。「意見」は、言葉のキャッチボールができて、建設的に物事を決めていくのに必要なものですが、「文句」には対話はなく、何も生まれません。
その②:変化を拒む人
変化を拒む人は、「新しいモノ」に凄まじい抵抗感を示します。
たぶん、変化を拒むのは、「新しいモノ」を取り入れることで「自分の仕事が無くなってしまうのではないか?」という無意識レベルの恐怖心があるからだと思います。
本来であれば、その恐怖心に打ち勝って、自らの仕事の付加価値を上げていく努力をしないといけないのですが、そこを拒んでしまってはどうしようもありません…。
まとめ
クラウド会計のメリット・デメリットについて、私なりの経験から思うことを本音で書いてきました。
最後にもう一度、クラウド会計のメリットを確認しておきましょう。
クラウド会計の5つのメリット
- メリット①:仕訳入力等をほぼ自動化できる
- メリット②:自動的にアップデートされる
- メリット③:安心安全にデータバックアップがされる
- メリット④:どこからでもアクセスできる
- メリット⑤:人件費や専門家への報酬を削減できる
クラウド会計は、最小の労力で最大の成果が得られる「最強のツール」です。クラウド会計の便利さを味わったときの感動をあなたにも味わってほしいです。
最後までお読みいただきありがとうございました。よろしければ、下記の当事務所サービスページもご確認いただけると嬉しいです。